単位など共振についてトランジスタの基本回路バイアス低周波発振回路
AF小信号増幅回路低周波2段直結増幅回路高周波発振回路高周波増幅回路高周波電力増幅回路
145MHz発振回路マルチバイブレーター電子回路電 源

低周波の小信号増幅や電力増幅、高周波の小信号増幅や電力増幅など使用目的に適した回路の動作点を決めるのがバイアスである、動作点にはトランジスタにも真空管と同じように、A級、B級、C級、D級(これはデジタル・アンプに使われる)とあり目的に応じて使い分ける必要があります。

A級

入力信号の全周期にわたってコレクタ電流が流れます、低周波や高周波の小信号増幅に主に使用される。 歪みの少ない増幅ができるが効率が悪い。特に歪みを嫌うアンプに使用されます。

B級

入力信号の約半周(180°)にわたってコレクタ電流が流れます。
低周波電力増幅ではプッシュプル回路で使用され+、-の信号を半周期ずつ交互に増幅し合成して出力します。
高周波電力増幅などでは同調回路やフィルタなどのフライホーイル効果でアンプからの出力の半周期を再生し出力します。 効率がよい。
リニアアンプなどに使用されます。

C級

入力信号の半周期よりも少ない間だけ(180°未満)コレクタ電流が流れます。FMの電力増幅回路や逓倍回路などに多く使用される。またAM送信機の高周波電力増幅(被変調回路)にも使われた。 歪みが多い(高調波を多く含む)、効率がよい。

D級

パルスや矩形波でドライブしてトランジスタをスイッチとして動作させる。オーディオのパワーアンプに使用されている。 損失が少なく、効率がよい。 まだ実験はしてない。

VBE-Ic特性

VCE-Ic特性

A級動作(バイアス) バイアスの与え方(抵抗負荷の時)

固定バイアス

固定バイアス

簡単な回路に使用される、温度、電源電圧の変動に対する安定度が悪い。現在ではシリコントランジスタを使用していますので温度特性が良く問題になるようなことはあまりありません。
RL=Vcc/2Ic Rb
=2RL×hfe×(Vcc-0.6)/Vcc Vcc=12V,Ic=1mA,hfe=100として計算すると
RL=(12/2)/1000=6kΩ Rb=2×6000×100(12-0.6)/12=1.14MΩ

自己バイアス

自己バイアス

温度や電圧の変動に対する安定度は中くらいである。 Rb=(Vcc/2-0.6)(hfe/Ic) RL=Vcc/2Ic Vcc=12V,Ic=1mA,hfe=100
として計算すると
Rb=12/2-0.6)(100/0.001)
=540kΩ RL=12/2×1mA=6kΩ

電流帰還バイアス

電流帰還バイアス

温度や電圧の変動に対する安定度はかなりの物である。
電源電圧を12Vとします。
まず、コレクタ電流Icを決める、今、1mAとして計算する。
エミッタ電圧を1Vとすると
Re=1V/1mA=1kΩVceを(Vcc-Ve)/2=(12-1)/2=5.5Vとすると
RL=(Vcc-Vce-1)/Ic=(12-5.5-1)/1mA
=5.5kΩ Vb=Ve+0.6 Vb=1+0.6=1.6V
Rb2をReの約5倍の5.1kΩとして計算すると
ブリーダ電流は
Vb/Rb2=1.6/51000=0.3mA
Rb1=(Vcc-1.6)/0.3mA
=10.4/0.3mA=34.7kΩ

実際に回路を組んで確認してみます。

Hfe測定

Hfe測定

先ず始めに使用するトランジスタの直流電流増幅率(Hfe)を測定しておきます。
電源電圧を10.6Vにした訳は、ベ-ス電流の計算を簡単にする為。
VR(500kΩ)を調整してコレクタ電流を1mAに設定します。
その時の、VRの値を測定してベース電流を計算、Hfeを計算で求めます。
Ib=10.6-0.6/1500000=10/1500000
Hfe=0.001/(10/1500000)=150となります。
VRと1MΩとの合成抵抗を測定しているところ。 測定の結果1.5MΩになりました。

固定バイアスの実験

固定バイアスの実験

固定バイアスの実験

RL=Vcc/2Ic RL=(10.6/2)/1000=5.3kΩ=5.1kΩとする。 Rb=2RL×hfe*(Vcc-0.6)/Vcc
Rb=(2×5100×150×10)/10.6=1443396=1.5MΩとして実験してみることにする。
コレクタ電圧の実測値=5.53Vとなりました。
よって予定電圧5.50Vにごく近い値となりました (Vcc-RL×Ic=10.6-5.1=5.5V)

自己バイアスの実験

自己バイアスの実験

自己バイアスの実験

RL=Vcc/2Ic RL=(10.6/2)/1000=5.3kΩ=5.1kΩとする。

Rb=(Vcc/2-0.6)(hfe/Ic)
Rb=(10.6/2-0.6)(150/0.001)=705kΩ

として実験してみることにする。
実験ではRb=600kΩ+100kΩ+5.1kΩ
コレクタ電圧の実測値=5.33Vとなりました。
よって予定電圧5.50Vにごく近い値となりました (Vcc-RL*Ic=10.6-5.1=5.5V)

電流帰還バイアスの実験

電流帰還バイアスの実験

自己バイアスの実験

電流帰還バイアスの実験

電源電圧を10.6Vとします。
まず、コレクタ電流Icを決める、今、1mAとして計算する。
エミッタ電圧を1Vとすると、
Re=1/1mA=1kΩ Vceを
(Vcc-Ve)/2=(10.6-1)/2=4.8Vとします。
RL=(Vcc-Vce-1)/Ic=(10.6-4.8-1)/1mA
=4.8kΩ=5.1kΩ Vb=Ve+0.6 Vb=1+0.6=1.6V
Rb2をReの約5倍の5.1kΩとして計算すると
ブリーダ電流は
Vb/Rb2=1.6/51000=0.3mA
Rb1=(Vcc-1.6)/0.3mA=9.0/0.3mA=30.0kΩ=27kΩ
実測値
コレクタ電圧=5.9V(5.5Vになる予定)
ベース電圧=1.65V となりほぼ設計値(0.05Vの差)となりました。
ただし、使用した抵抗器の値の誤差は5%です。